メニュー

【JFA100周年企画】

「サッカーの魅力は
一生満足できないこと、
一人では何もできないこと」
熊谷紗希選手
(FCバイエルン・ミュンヘン)インタビュー

2021/06/18
©JFA

VOICES

サッカーファミリーの声

日本サッカー協会(JFA)は2021年9月に創立100周年を迎えます。ここではサッカーの魅力について考えるきっかけにするために、さまざまなサッカーファミリーにインタビューを実施します。第7回目はなでしこジャパン(日本女子代表)としてFIFA女子ワールドカップの優勝経験も持つ熊谷紗希選手(FCバイエルン・ミュンヘン/ドイツ)に登場いただきました。 ○オンライン取材日:2021年4月28日

まずはサッカーとの出合いについて聞かせてください。

熊谷

4歳上の兄がサッカーをしていて、父と兄が練習している横でボールを蹴ったり、小学校の休み時間に男の子たちとボールを蹴ったりするようになり、兄の試合などを両親と一緒に見に行く中、8歳の時に正式に始めました。

そこからサッカーにのめり込んでいった理由はどこにあるのでしょうか

熊谷

できなかったことが練習してできるようになるのが楽しかったです。小学生の時に所属していたチームはリフティングをよくやっていて、回数をクリアしたら表彰されてトロフィーがもらえたので、それがモチベーションになって相当練習した記憶があります。コツコツ努力して、できることが増えて、やりたいことができるようになって、どんどん楽しくなってここまで来たという感じです。

©JFA

今はプロ選手として活躍していますが、サッカーと出合ったことで人生がどのように豊かになったのでしょうか。

熊谷

サッカーを通して出会った仲間たちには本当に恵まれています。高校の仲間たちもそうですし、高校卒業後に浦和レッズレディースで出会った仲間たち、なでしこリーグで出会った仲間たち。ヨーロッパに渡った後もサッカーを通して世界中に友達ができて、その人たちが今の自分を形成してくれたと思っています。

子どもの頃は、海外でプロサッカー選手として活躍する今の姿はイメージしていましたか?

熊谷

サッカーを始めたばかりの頃はしていなかったですが、小学生か中学生の時に、当時アメリカでプレーしていた澤穂希さんのドキュメンタリー番組を見たことがあって、その影響で中学の卒業文集には「アメリカでプレーする」と書きました。アメリカとヨーロッパの違いはありますが、海外でプレーしたいというのは当時から漠然と思っていました。

これまでのサッカー人生で特に印象深い出来事を教えてください。

熊谷

2011年のFIFA女子ワールドカップで優勝した時は、言葉では言い表せないほど特別な瞬間でした。ただ、当時は私自身も若く、何も分からず、何の経験もない中でできることを必死にやっていたので、背負っていたものはそれほど大きくありませんでした。あの経験を経てヨーロッパに渡り、リヨンに移籍して初めてUEFA女子チャンピオンズリーグで優勝した時(2015-16シーズン)は、ワールドカップとは異なる喜びがありましたね。リヨンでは女子CLに5回優勝していますが、毎回ドラマがあってどの大会も印象深いです。

©JFA

熊谷選手にとってのサッカーの魅力とは?

熊谷

一生満足できないことですね。サッカーのことだけを考え、ヨーロッパに渡って10年間プレーしているのに、完璧だと思えた瞬間はありません。だからこそ常に向上心を持って取り組めるし、結果が出た時や、できなかったことができるようになった時は本当にうれしくて「これがあるからサッカーは楽しい」と実感します。それから、一人では何もできないところも魅力ですね。チームで取り組むからこそ喜びは2倍にも3倍にもなるし、仲間がいるから頑張れるところも大きな魅力だと思います。

では、熊谷選手にとってサッカーとはどのような存在でしょうか。

熊谷

生きがいですね。ずっとサッカーと一緒に歩んで来ましたし、サッカーがなかったらどんな生活を送っているのか想像もできないので、サッカーは生きがいですね。

今年9月にJFAは100周年を迎えます。

熊谷

すごく長い歴史があるんだな、と改めて感じますし、率直にすごいと思います。代表活動を始め、日々の活動を含めて多大なサポートをしていただいているので、すごく感謝していますし、ありがたみを常に感じています。

JFAにおける女子サッカー界は今後、どのように発展していってほしいですか?

熊谷

私自身は小さい頃から女子サッカー選手になりたいと思っていて、実際にヨーロッパで初めてプロになりましたが、日本の現状は、なでしこリーグでも全選手がプロではありませんでした。WEリーグが始まると女子サッカー選手が一つの仕事になっていきますが、男子と同様、サッカー選手になりたいという夢を日本の女の子たちも持てるような環境になっていってほしいですね。

©Walnix

未来を担う子どもたちへのメッセージをお願いします。

熊谷

サッカーに限らず、どのスポーツでも、とにかく楽しんでほしいですね。私自身、つらいこと、苦しいこともありましたが、思い返すと楽しいことばかりがよみがえってきますし、30歳になった今でも楽しい時が一番、成長できています。スポーツから得られる喜びはすごく大きなものがあると思いますし、楽しむことを忘れず、好きなことを頑張ってほしいです。

次の100年間で、日本のサッカー界やJFAに期待することを教えてください。

熊谷

プロ選手から子どもたちまで、より良い環境でサッカーができるようになることを期待しています。女子サッカーで言えば、男子サッカーと同じぐらい認知度や人気が上がっていってほしいですね。自分がヨーロッパで活躍し続けることがそのきっかけになると思うので、自分ができる限りのことは頑張りたいと思います。

プロフィール
熊谷 紗希(くまがい さき)
1990年10月17日生まれ、北海道出身
地元北海道で中学まで過ごし、女子サッカーの名門・常盤木学園高校を経て、2009年に浦和レッズレディースに加入。なでしこジャパンには高校3年時の08年に初選出され主力に定着する。11年のFIFA女子ワールドカップではセンターバックで全試合に出場。アメリカとの決勝では優勝を決めるPKを成功させた。ワールドカップ後に活躍の場をドイツに移し、13年からはFCバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)でプレー。2017年からはなでしこジャパンの主将を務める。

RELATED INTERVIEW

2021/08/13

「負けた悔しさや、
何をやってもうまく
いかないもどかしさも、
豊かになるために必要なもの」

2021/09/03

「サッカーは非常に奥深く、
限界のない競技でもある」

2021/07/02

「何もない時代から
ここまできたが
完成ではない」