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【JFA100周年企画】

「サッカーと出合って
好きになった私の人生も、
この100年の歴史が
あったからこそ」
山下良美審判員インタビュー

2021/09/17
©JFA

VOICES

サッカーファミリーの声

日本サッカー協会(JFA)は2021年9月に創立100周年を迎えました。ここではサッカーの魅力について考えるきっかけにするために、さまざまなサッカーファミリーにインタビューを実施しています。第19回目は国際審判員として活躍し、女性審判員として初めてJリーグで主審を務めた山下良美審判員に登場いただきました。 ○オンライン取材日:2021年8月31日

サッカーと出合ったきっかけを教えてください。

山下

4歳の頃、兄がサッカーをしている姿を見て楽しそうだと思いボールを蹴り始めたのがきっかけです。そこで出会ったコーチがサッカーを好きにさせてくれて、中学3年まで続けました。高校では部活というものを経験したくてバスケットボール部に入ってサッカーから離れたんですが、逆にその3年間でサッカーに対する思いが募り、大学でサッカーを再開しました。

審判活動を始めたきっかけを教えてください。

山下

大学を卒業する時に、先輩だった坊薗真琴さんから半ば強引に勧められ(笑)、一度やってみようと思い始めました。正直に言って、当時は審判員のことは全く考えていなかったですし、実際に勧められても最初は興味がわかなかったです。

その思いはどのように変化していったのでしょうか。

山下

実際に試合を裁くと審判員としての責任を感じ、その存在価値に気づくようになりました。試合をするには審判員が必要で、務めるならしっかり向き合わなければいけないという気持ちが試合を重ねるにつれて強くなっていき、今に至っています。

今、改めて感じている審判員の魅力を教えてください。

山下

審判員は選手たちの次のプレーを予測し、次はこの選手がこうするんじゃないか、ここでコントロールしてシュートするだろうとイメージしながら臨んでいるんですけど、その予測がいいほうに裏切られるというか、「こんなコントロールするの?」とか「そこにパスを出すの?」というプレーを見せてくれることがあり、その時は心を動かされます。

審判員としてのキャリアの中で特に印象深い出来事を教えてください。

山下

2015年の皇后杯全日本女子サッカー選手権大会の決勝戦(INAC神戸レオネッサがアルビレックス新潟レディースを1-0で下し優勝)の主審を担当したのですが、その試合は等々力陸上競技場に2万人以上の方が見に来てくださって、日本の女子サッカーの力を感じました。ピッチに出て行って観客席を見回した時は感激しましたし、これだけ多くの人を惹きつけられる力があるんだ、と感じました。

©J.LEAGUE

2021年5月16日のJ3リーグ第8節Y.S.C.C.横浜対テゲバジャーロ宮崎戦では、女性として初めてJリーグの試合で主審を務めました。

山下

背負うものの大きさは本当に強く感じました。この機会を与えていただくにあたり、本当に多くの方のご尽力があり、選手やチームの理解がありました。たまたま私が初めてという形になりましたが、先輩方がつくってきてくれた道ですし、それをしっかり継続して次につなげていかなければいけないという責任を感じました。また、多くの女性審判員が全国各地でそれぞれ信頼を積み重ねているので、それを私がこの試合で無駄にしちゃいけないという思いもすごく強かったです。

試合後の心境を教えてください。

山下

反響の大きさに驚くとともに、今まで興味のなかった方の目に届く可能性があるということを強く感じて、女性審判員の可能性を広げたい、そういう役割が自分にはあるんだということを感じました。この機会を継続させていかなければいけないですし、もっとたくさんの方の目が向くことで、可能性がさらに広がっていくのではないかと改めて感じました。

JFAは9月に100周年を迎えます。

山下

100年と聞くと長い歴史だと思いますけど、100年でサッカーがこれだけ愛されるスポーツになったと考えると、なんだか短いような感じもします。この100年間の歴史にそれだけのものが詰まっているんだな、と思いますし、私がサッカーと出合って好きになっていった人生も、この100年の歴史があったからこそなんだと思うと、感謝の気持ちがこみ上げてきますね。

WEリーグも開幕し、女性審判員に求められるものはさらに多くなっていくと思います。

山下

日本の女子サッカーにとって大きな転換期になる年だと思います。選手には人々に夢や希望を与える役割があると思うので、それを審判員の立場でしっかり支えられるよう努力しなければいけないと思いますし、サッカーの魅力をより引き出せるように、私たち審判員も努力を積み重ねていかなければいけないなと改めて思います。

未来を担う子どもたちへのメッセージをお願いします。

山下

私は継続していくことの大切さ、一歩踏み出すことの大切さをサッカーから学びました。くじけそうになることもあると思いますけど、それでもサッカーが好きなら何かしらの形でサッカーにつながっていってほしいと思いますし、その中でやりたいことがあれば、一回でいいのでやってみてほしいです。挑戦というとちょっと強い言葉になってしまうので、やってみるという気持ちを大切にしてほしいです。

これからの100年間でサッカーやJFAに期待することを教えてください。

山下

もっともっとたくさんの人に、私が感じているサッカーの楽しさや魅力を知ってほしいですね。ゴールが入った時に全身で喜びを表現したり、仲間とサッカーの話で盛り上がったり、そんな光景が、日本中でもっともっと増えていったらいいなと思います。

©Walnix
プロフィール
山下 良美(やました よしみ)
1986年2月20日生まれ、東京都出身
幼少期からサッカーを始め、大学でも女子サッカー部で活動する。大学卒業時に審判員としての活動を開始し、2012年に女子1級審判員の資格を取得。15年に国際審判員に登録。16年と18年のFIFA U-17女子ワールドカップに選出、19年のFIFA女子ワールドカップに主審として参加。同年、男子の大会であるAFC CUP2019でも主審を担当。同年12月に1級審判員に登録され、天皇杯やJFLで主審を務める。21年1月、女性審判員としては初めてJリーグ担当審判員(主審)にリスト入りし、明治安田生命J3リーグ第8節で審判員を担当した。今夏の第32回オリンピック競技大会(2020/東京)も主審として参加し、女子サッカーの開幕戦等で笛を吹いた。

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